ここに記載された内容で判断つかない場合は、各地のインストラクターの裁定により判断され最終スコアとする
【目次】
1. ATPFの精神(魂)
1.1 目標への挑戦
ATPF参加者は、自らの目標に真摯に向き合い、努力を重ねて挑戦し続ける姿勢を大切にする。
1.2仲間への愛とつながり
競技仲間との絆を尊重し、共に成長し合う心をもつ。仲間の存在が、自分の成長を支えていることを忘れてはならない。
1.3 結果にとらわれず、競技を楽しむ
他の競技者との比較や結果にとらわれず、競技することそのものの喜びを感じ、楽しむことを心がける。
1.4.敬意と感謝の心
競い合う相手に対する敬意、競技を支える会・運営への感謝の気持ちを忘れず、謙虚な態度を持って競技に臨む。
2.1ATPF安全の心得
ATPFの精神の尊重
すべての参加者は、ATPFが掲げる精神を理解し、これを尊重しなければならない。
自己責任の原則
すべての参加者は、自己の責任において競技および関連活動に参加する。
2.2安全に関する基本指針
銃器の取り扱いについて
すべてのエアソフトガンは、本物の銃器と同様に取り扱い、安全に最大限配慮しなければならない。
発射時の安全確認
撃つ際には、必ず周囲の安全を確認し、事故が起こらないよう十分配慮された環境でのみ発射を行うこと。
銃口管理の徹底
銃口の向きには常に注意を払い、決して人や危険な方向へ向けないこと。
トリガーへの接触管理
撃つとき以外は、決してトリガーに指をかけてはならない。常に安全を意識した操作を徹底する。
3.ATPF運営規則
3.1 運営について
運営は、一般社団法人 日本トイガン射撃協会および各地の加盟クラブによって構成される。
3.2 開催日程
競技は、毎月1回ずつの月例マッチで構成される。
開催日は、毎月1日から最終日曜日の間で、各加盟クラブが自由に決定する。
全国大会の開催については、本部が場所と日程を発表する。
順延・中止の判断は各クラブで行うが、年間9回以上の大会開催を基本とし、3回以上の連続不開催が続いた場合、当該クラブは開催クラブとしての資格を喪失する可能性がある。
3.3 運営本部
運営本部は、一般社団法人 日本トイガン射撃協会内に設置され、次の業務を担う。
-
各加盟クラブの統率
-
規則の策定
-
成績の集計
-
クラブおよび競技者との連絡対応
運営資金は、各クラブからのATPFシステム費によりまかなわれ、使途はすべて本部に一任される。
3.4 加盟クラブ
加盟クラブは、エアソフトシューティング競技の普及を目的とする。
各クラブには、メインインストラクター(1名以上)とサブインストラクター(1名以上)を配置し、大会運営、競技者育成、成績集計を担当する。いずれか一名以上は、一社)日本トイガン射撃協会の会員であることとする。
各クラブは、登録時に申請フォームより申請をし、毎月「システム費」を本部に送金し、一社)日本トイガン射撃協会の運営費とする。
インストラクターは「インストラクターズ・ライングループ」に登録し、本部からの連絡事項をクラブ員に伝達しなければならない。
3.5 免責事項
会場で発生した怪我・事故については、故意・過失を問わず、本部・加盟クラブとも一切の責任を負わない。
3.6 インストラクター制度
3.6.1 目的
インストラクターは、競技会の安全な運営、参加者・観覧者の安全確保、初心者への技術指導を行い、エアソフトガンシューティングの普及に努める。
インストラクターは講習を受講し、適格と認められた者を本部が認定する。
3.6.2 インストラクタートレーニングについて
ATPFの理解促進と親睦を目的として、随時トレーニングを行う。
3.6.3 インストラクターステイタス
インストラクターは次の2種類に分類される。
-
チーフインストラクター:クラブ開催の責任者
-
サブインストラクター:補佐役であり、単独開催能力を持つ
3.6.4 チーフインストラクター
大会開催における全責任を担い、会場運営・成績集計を判断・実施する。
本ステイタスのインストラクターが不在の場合、その会場でのATPF開催はできない。
年1回のインストラクタートレーニングへの参加が更新条件である。参加できない場合は、代替として主催者がルールに準じたマッチを開催すること。
3.6.5 サブインストラクター
ATPFの開催に必要な判断・運営能力を持ち、通常はチーフの補佐として活動する。チーフ不在時には単独で大会を開催できる。
3.6.6 インストラクターの人員
各クラブには、チーフ・サブそれぞれ最低1名が必要である。インストラクター就任時には、誓約書および住所・氏名・生年月日を本部に届け出ること。
3.7 インストラクターズミーティング
必要に応じて開催され、ここで決定・承認された内容は、以降1年間の競技運営に反映される。
欠席したインストラクターも、決定事項に全面的に従う義務がある。
3.8 エントリーフィー
エントリーフィーの金額は各クラブの裁量により定められ、本部は干渉しない。
3.9 運営に対する抗議
本部および加盟クラブの運営に対する抗議は一切認めない。
抗議または批判とみなされる行為があった場合、参加資格や開催権が剥奪されることがある。
3.10 参加資格
18歳以上の健全な男女が参加可能とする。18歳未満の参加は、保護者の同伴または保護者の同意書の提出を条件とする。
3.11 初回の参加
初参加者は事前に参加意思を連絡し、インストラクション(事前指導)を受けなければならない。
その後の出場可否は、インストラクターの判断により決定される。
3.12 開催場所について
ATPFは、私有地・公共地に関わらず、開催にあたっては必ず所有者または管理者の許可を得なければならない。
3.13 ローカルルール
インストラクターは、安全や運営上の必要性があると判断した場合、自クラブにおける独自のローカルルールを設定できる。
その際は、内容をクラブ員に通知し、あわせて本部にも報告すること。
4.競技部門と道具について
競技に参加するために、必要道具は、各個人で用意しなくてはならい。
その選択の助言は、インストラクターや、経験の長い競技者に求めることは、最終的に少ない費用で、満足度の高い道具を揃えることができる。
競技で使用できるトイガンのポリシー
当協会の競技で使用できるトイガンは、日本の法令に遵守してトイガンとして販売されている物
トイガンをカスタムする場合は、トイガン用の部品(光学サイトを除く)で業界の定める安全基準内(強度、出力)のモノを使用する。
4.1 アイプロテクション
競技開始から終了まで、会場内にいるすべての者は、シューティンググラス等のアイプロテクションを必ず着用しなければならない。
4.1.1 服装・履物
競技者は、競技を安全かつ円滑に行える服装および履物で入場すること。
ATPFではカモフラージュやその他の扮装を認めるが、他人に不快感を与えるおそれのある服装は、会場内のみでの着用に限定する。
4.1.2 銃(全般)
すべての部門において、使用できる銃は日本国内で合法とされるセミオート式のエアガンに限る。
銃の形式(リボルバー、ブローバックオート、固定スライド式、ナガモノ)に制限はないが、トリガーガードがない銃は使用を認めない。
4.1.3 銃の加工(全般)
安全性が確保されたパーツによるカスタムは許可される。
ただし以下は禁止事項とする:
-
法令または業界基準を超えるパワーアップ
-
日本遊戯銃協会、日本スポーツエアーガン協会、全日本トイガン安全協会のいずれかが認めないパーツの使用(例:ハンドガンの金属スライド・金属フレーム、リボルバーの金属アウターバレルなど)
4.1.4 ガンチェンジ
競技者は、1マッチ内で同一の銃およびサイトを使用しなければならない。
ただし、使用中の銃が使用不能になった場合には、事前に申告・検査を受けたセカンドガンを、同一部門設定の範囲で代替として使用することができる。
4.1.5 複数同時使用
複数の銃を同時に使用することは禁止する。
4.1.6 ホルスタ(全般)
銃を安全に保持でき、収納した状態で発射できないホルスターを使用すること。
使用可能なホルスターはヒップホルスター(ベルトに装着する形式)のみとし、装着位置は利き手側の腰に限定する。
4.1.7 禁止ホルスタ形式
以下の形式のホルスターは禁止する:
-
ショルダーホルスター
-
アンクルホルスター
-
クロスドロウホルスター
-
バックサイドホルスター
-
その他、銃を収納した際に銃口が180度ルールの範囲外を向く可能性があるもの
4.1.8 ホルスタテスト(全般)
使用するホルスターが銃を安全に保持でき、かつ禁止形式に該当しないことを、競技前に確認する。
4.1.9 弾
使用可能な弾は、6mmまたは8mmのプラスチック製BB弾とする。
4.1.10 パワーソース(全般)
パワーソースは、日本国内で安全と認められているものに限る。
4.1.11 銃のパワー(全般)
競技に使用できるエアガンは、以下の基準を満たさなければならない(2021年1月時点 業界安全自主基準に準拠):
-
6mmBB弾使用時:初速94.8m/s以内(0.2g弾で0.9J以下)
-
8mmBB弾使用時:0.27g弾で初速99.0m/s以内
すべての使用銃は、競技前にパワーチェックを受けなければならない。
4.2 競技部門ごとの規定
ATPFでは、使用する競技用具の種類によって複数の部門に分かれている。
これは、同等の装備条件下で参加者同士のタイムを比較しやすくし、より身近な目標を設定できるようにするためである。
4.3 テーブルスタート部門(TS)
ホルスターを必要とせず、ほぼ購入時の状態のエアソフトガンで参加可能な部門。
ホルスターを持っていない方、ドロウ動作が困難な方、またはマシンピストル型・ロングバレルハンドガンなど、ホルスター対応が難しい趣味性の高いモデルでの参加者を想定している。
4.3.1 銃
安全基準内で製造されたあらゆるタイプのエアソフトガンを使用可能とする(例:ブローバックモデル、固定スライドモデル等)。
原則としてノーマル状態が望ましいが、軽度のカスタムは許容される(例:マルイ製リボルバーをカートリッジ式に変更する等)。
また、オプティカルサイト用マウントを標準装備している機種であれば、オプティカルサイトの使用を認める。
4.3.2 ホルスタ
本部門では競技中にホルスターを使用しないため、携行・着用の必要はない。
4.3.3 スタンバイポジション
スタート時には、銃をセイフティONの状態でテーブル上に置いた状態とする。
スタートポジションの詳細は、当日のコースブリーフィングに従うこと。
なお、テーブルの設置位置は、スタート位置から見てダウンレンジ方向に半径50cm程度の範囲内で、安全と判断される場所とする。
4.4 リミティッド部門(LM)
光学サイトを使用しない、最も標準的な競技部門。
4.4.1 銃
安全基準内で製造されたハンドガンを使用できる。
例:ブローバックモデル、固定スライドモデルなど。
4.4.2 許可カスタム事項
以下のカスタマイズは、安全性が保たれていれば許可される。
-
ブローバック作動長の変更
-
銃身長の変更、および銃の重量の変更
-
サイトの変更(集光サイトへの変更、固定式から可変式への交換)
-
トリガーの調整
-
グリップ形状の変更
-
装弾数の変更
4.4.3 禁止カスタム事項
以下の加工・追加は、本部門では認められない。
-
ダットサイトなど光学サイトの追加
-
ハンドガンとしての形態を逸脱する加工
(例:フォアグリップの装着、ショルダーストックの装着など)
4.4.4 ホルスタ
レースホルスターの使用を認める。
ただし、収めた状態でトリガーが露出しない構造のものに限る。
4.5 オープンキャリー部門(OC)
携帯性を重視したホルスターを使用する部門。
4.5.1 銃
安全基準内で製造されたハンドガンを使用できる。
例:ブローバックモデル、固定スライドモデルなど。
4.5.2 許可カスタム事項
以下のカスタマイズは、携帯用ハンドガンとして適切な範囲で許可される。
-
サイトの変更(集光アクリルサイト、スライド上に搭載されたダットサイト)
-
トリガーの調整
-
グリップ形状の変更
4.5.3 禁止カスタム事項
以下の加工は、キャリーハンドガンとしてふさわしくないと見なされ、禁止される。
-
フォアグリップの追加
-
ショルダーストックの追加
-
左手用サムレストの追加など、両手での操作を前提とした装備の追加
4.5.4 ホルスタ
レースホルスターの使用は禁止。
キャリーホルスター(トリガーが露出しない構造)に限り使用可能とする。
使用可能な例:レッグホルスター(サイホルスター)、デューティリグ(警察装備)等。
4.6 コンシールドキャリー部門(CC)
銃を隠し持つスタイルでの技術を競う部門。
※レースホルスターの使用は禁止。
4.6.1 銃
4.5 オープンキャリー部門の規定に準ずる。
4.6.2 装弾数
装弾数に制限は設けないが、ステージ2〜3では1回のリロードを必須とする。
4.6.4 許可カスタム事項
以下のカスタムは、キャリーガンとして適切な範囲で許可される。
-
サイトの変更(スライド搭載型ダットサイト、集光アクリルサイト等)
-
トリガー調整
-
グリップ形状の変更(携帯性を損なわない範囲)
4.6.5 禁止カスタム事項
キャリーハンドガンとしてふさわしくないとされる以下の加工は禁止される。
-
フォアグリップの追加
-
ショルダーストックの追加
-
左手用サムレストの追加 など
4.6.6 ホルスタ
レースホルスターは禁止。
キャリーホルスターを使用し、収納状態でトリガーが露出していないこと。
さらに、両手を挙げた際に装備が外部から見えないように装着すること。
4.6.7 マグパウチ
レース用マグパウチは禁止。
ジャケット等の着用により、両手を挙げた際に装備が露出しないよう装着すること。
4.6.8 リロード
指定されたステージにおいて、参加者は任意のタイミングで1回のリロードを必ず行うこと。
4.7 オープン部門(OP)
好タイムを目的とした、自由度の高いカスタムが可能な部門。
4.7.1 許可カスタム事項
以下のカスタマイズが許可される(安全性が保たれていることが前提)。
-
ブローバック作動長の変更
-
銃身長の変更
-
銃の重量変更
-
サイトの変更(ダットサイト、レーザーサイト、集光サイト、固定→可変など)
-
トリガー調整
-
グリップ形状の変更
-
装弾数の変更
4.7.2 禁止カスタム事項
以下のような加工は、ハンドガンとして不適切と見なされ禁止される。
-
フォアグリップの装着
-
ショルダーストックの装着 など
4.7.3 ホルスタ
トリガーが露出しない状態で銃を安全に保持できるホルスターを使用すること。
4.8 リボルバー部門(RV)
回転式弾倉(リボルバー)を使用し、装弾数に応じてリロードを行う部門。
※マルイ、タナカ等のケースレスリボルバーも、シリンダーの装填数以内でリロードを行うことにより使用可能。
4.8.2 ホルスタ
銃を安全に保持でき、収納状態で発射できない構造であること。
4.8.4 リロード
発射数が装弾数を超える場合は、必要に応じてリロードを行うこと。
4.8.5 ケースレスリロード
以下のいずれかの方法で、リロードを行うこと。
-
方法1:シリンダーの前面から、BB弾をシリンダーの穴数以内で装填する。
-
方法2:同型の予備シリンダーを用意し、シリンダーごと交換する。
4.9 ロングガン部門(LG)
ストックのあるエアソフトガン(主に電動の長物)を使用する部門。
4.9.1 銃
全長50cm以上、かつストックを備えたガン。サイトに関しては自由(光学サイトも使用可)。
4.9.2 スタンバイポジション
-
ハンズアップ指示時:
セーフティONの状態で、銃のグリップ側面をベルトに当て、ウィークハンドで保持。
ストロングハンドはハンズアップする。 -
ウィークハンド保持が困難な場合:
スリングで吊る、もしくはテーブルに置いた状態からスタートを許可する。 -
ステージ2・3にてアップレンジを向いた姿勢を指定された場合:銃口をダウンレンジに向けて保持すること。
4.10 2ガン部門(2GUN)
ロングガンとハンドガンの両方を使用し、コースを攻略する部門。
4.10.1 銃
-
プライマリー(主武装):4.9 ロングガン部門(LG)に準ずる。
-
セカンダリー(副武装):4.5 オープンキャリー部門(OC)に準ずる。
4.10.2 スタンバイポジション
スタートポジションは、4.9.2 ロングガン部門に準じる。
任意の位置で、ハンドガン(セカンダリー)へのトランジションを行うことができる。
4.10.3 トランジション
-
試技中に一度は必ず、プライマリーからセカンダリーへの**トランジション(持ち替え)**を行うこと。
-
セカンダリーへの移行は、プライマリーが発射状態でないことを確認し、銃口を下に向けた状態でドローすること。
-
プライマリーへのスリング装着は必須ではないが、競技エリアの地面に直接置くことは禁止とする(安全であっても不可)。
4.11 マニュアルローダー部門(ML)
次弾を手動で装填する方式のエアソフトガンを使用して競技を行う部門。
4.11.1 使用可能な方式
以下のマニュアル装填方式のエアガンを使用できる。
※照準器(サイト)の種類は自由とする。
-
ポンプアクション式
-
レバーアクション式
-
ボルトアクション式
-
スライドコッキング式ハンドガン
4.11.2 スタンバイポジション
銃のサイズや形式に応じて、以下のいずれかのスタート方式を選択可能。
-
テーブルスタート(TS)
-
ロングガンスタート(LG)
-
オープンポジション(OP)
4.12 部門2(属性)
年齢・性別・経験などの個人差を考慮し、参加者のモチベーション向上を目的とした区分。
4.12.1 ジュニア部門(JR)
-
対象:18歳未満の参加者で、10歳以上用エアガンを使用した場合。
※地域条例により18歳未満でも18歳以上用エアガンの使用が認められている場合は、本部門の対象とはなりません。
4.12.2 レディース部門(LD)
-
対象:女性の参加者。
※性別の確認にあたり、身分証などの提示は不要。
4.12.3 シニア部門(SR)
-
対象:満50歳以上の参加者。
※年齢の確認にあたり、身分証などの提示は不要。
4.12.4 ビギナー部門(BG)
-
対象:ATPFを含むエアソフト競技に参加3回以内の初心者。
5. コースデザインおよび設置に関する規定
ATPFでは、離れた開催地であっても可能な限り同一条件のコースを再現し、公平な競技運営を行う。そのために、以下のような独自の設置基準を設けている。
5.1 ATPFの開催会場
-
会場はインドア・アウトドアを問わない。
-
使用に際しては、所有者または管理者の許可を得ていることが必須。
5.2 会場の安全性
-
会場には、レンジ外へ弾が飛び出さないための安全措置(ネット、壁等)が施されていなければならない。
5.3 会場の地面
-
インドア・アウトドアを問わず、できる限り平坦な地面であることが望ましい。
5.4 ATPFの必要フィールドサイズ
-
コースは、縦5m × 横4m以内の範囲にターゲットおよび関連設備を配置すること。競技中意図的にこれ以上の範囲を移動ルートとして使ってはならない。
5.5 ターゲット
-
ペーパーターゲットは、ATPF規定のサイズのものを使用すること。
-
プレートターゲットは、直径12.5cmの円形とする。素材は自由だが、繰り返しの射撃に耐える耐久性が必要。
-
ストッププレートも同様に直径12.5cmの円形とし、黄色に着色すること。
5.6 チャージライン
-
チャージラインは、競技者の動きを制限し、課題を与えるために設けられる。
-
以下の設備を使用して構成される。
-
バリケード
-
シューティングボックス
-
フォルトライン
-
その他、フィールドに立てた棒の間に紐を張ることで、動きを制限・管理する方式も可。
-
5.6.1 スタートマーク
-
スタート位置を明示するため、フィールド内に直径15cmの円形プレートを設置する。
5.7 ハードカバー
-
ターゲットの一部に、黒く塗ったエリアを設け、弾が貫通しないハードカバーとみなす。
-
このエリアに着弾しても、ミス(ペナルティ)とはならないが、得点としては認められない。
6. レンジでの手順
競技者は、安全かつ円滑に競技を実施するために、以下の手順をあらかじめ理解しておくことが望ましい。
6.1 競技の説明(コースブリーフィング)
-
インストラクターは、競技開始前にすべての競技者に対して、各ステージの概要を説明(ブリーフィング)しなければならない。
-
射撃位置や射撃姿勢の選択がある場合は、その可能性についても説明しておくことが望ましい。
6.2 コースの下見(ウォークスルー)
-
全ステージで、短時間の下見(ウォークスルー)は許可される。
-
ただし、時間的制限や、反復によって練習とみなされる場合には、制限されることがある。
6.3 ガンのレディ状態(携行状態)
ガンの種類 | レディ状態 |
---|---|
シングルアクションリボルバー | ハンマーダウン |
ダブルアクションリボルバー | ハンマーダウン |
シングルアクションオート | コック&ロック(ハンマーコック+セーフティON) |
ダブルアクションオート | ハンマーダウン |
セレクティブオート | コック&ロック または ハンマーダウン |
6.4 レディポジション(射撃開始前の姿勢)
-
各ステージのブリーフィングで指定されたポジションに従う。
-
例)ステージ1では「ハンズアップポジション」
-
ステージ2・3では、それぞれの指示に従う。
-
6.5 合図の前スタンバイ状態
-
「スタンバイ」の号令の後は、競技開始の合図があるまで、ポジションを保持しなければならない。
6.6 レンジでの号令(レンジコマンド)
競技中に用いられる統一されたレンジコマンドと、その内容は以下の通りである。競技者は、その意味を理解し、必ず従わなければならない。
6.6.1 「Make Ready(メイク・レディ)」
-
ガンをロードし、規定されたレディポジションを取る。
-
ダウンレンジ(標的方向)に向かっていない場合は、まずダウンレンジに向き、完全にロードしたのち、ホルスターに収めてコース指示に従う。
6.6.2 「Are You Ready?(アー・ユー・レディ?)」
-
競技者が正しくレディポジションを取っているか確認したうえで、インストラクターが問いかける。
-
準備が整っていれば、軽くうなずくか無言で静止することで「準備完了」とみなす。
-
準備ができていない場合は、「Not Ready(ノット・レディ)」と口頭で申告する。
6.6.3 「Standby(スタンバイ)」
-
数秒の間をおいて、競技開始の合図(ブザー)が鳴る。
-
ストッププレートのヒットをもって競技終了とする。
-
終了に気づかない場合は、インストラクターが通知する。
6.6.4 「If You Are Finished, Unload and Show Clear(終了したらアンロードし、クリアを見せてください)」
-
終了していれば、ガンをアンロードし、空であることをインストラクターに見せる。
-
オート:マガジンを抜き、スライドを引いてチャンバーを確認。
-
固定式マガジン:マガジンが空であることを示す。
-
リボルバー:シリンダーをスイングアウトして空であることを確認。
- 電動ガン等:残りの弾をターゲット以外に発射し、空撃ちして空であることを確認。
-
6.6.5 「If Clear, Hammer Down, Holster(クリアなら、ハンマーダウンし、ホルスターへ)」
-
オート:スライドを戻し、トリガーを引いてハンマーを落とす。
-
リボルバー:シリンダーを閉じる。
-
その他:安全な状態にしてからホルスターやガンバッグへ戻す。場合によっては、マズルキャップ対応も可能とする
6.6.6 「Range is Clear(レンジ・イズ・クリア)」
-
競技の安全終了を宣言する号令。
-
このコマンド以降、競技者以外の者がレンジ内に入ることが許可される。
6.7 作動不良(マルファンクション)
-
作動不良が発生した場合、銃口を常にダウンレンジへ向けたまま対応すること。
-
自力での復旧が困難な場合は、自由な手を上げて合図し、インストラクターに申告する。
-
申告時、タイマーは停止され、インストラクターが状況を確認する。
6.8 助言および指示
-
競技中に不明点がある場合、競技者はインストラクターに質問することができる。
-
インストラクターは、競技者の困惑が明確である場合に限り、適切な助言や指示を行ってよい。
-
ただし、競技上有利となるような内容の助言は認められない。
6.9 銃口の向きおよびトリガーフィンガー
-
競技中、銃口の向きとトリガーフィンガー(引き金にかける指)の管理が重要である。
-
インストラクターは、銃口が危険な方向へ向く恐れがある、または撃つ意図がない状態で指がトリガーに触れている場合、直ちに注意を行う義務がある。
-
それでも改善されない場合、インストラクターは競技を中断し、安全措置を講じなければならない。
7. 集計に関する規定
7.1 エントリー
-
選手は、複数の部門にエントリーすることが可能である。
-
その場合、各部門ごとに別個の選手(個人)として登録される。
7.2 成績の算出方法
-
各ステージの終了タイムにペナルティタイムを加算し、合計タイムによって成績を決定する。
-
毎月実施される3ステージの合計タイムが少ない者から順位を決定する。
7.3 終了不可(DNF: Did Not Finish)
-
競技途中でステージを終了できなかった場合、以下のタイム以上時間が掛った場合適用する:
ステージ 適用タイム ステージ1 各ストリング30秒 ステージ2・3 各60秒
7.4 失格(DQ: Disqualification)
-
競技中に、後述する失格行為を行った場合は、すべての成績を無効とする。
7.5 リシュート(再競技)
-
以下の事由が認められた場合、リシュートが許可される:
-
前の競技者と比べてステージ配置に明らかな変更があった場合
-
タイマーの不調などにより、正確な時間計測がされなかった場合
-
インストラクターの判断により、リシュートが妥当とされた場合
-
7.6 成績の集計
-
各地域での競技会終了後、各地のインストラクターより本部へ成績が送付される。
-
本部にて、集中的に集計作業を行う。
7.7 タイブレイク(同タイムの扱い)
-
合計タイムが同一の場合、同率順位とする。
-
タイブレイク(順位決定戦)は行わない。
7.8 成績発表
-
成績は、後日、公式ホームページ上で発表される。
7.9 集計に対する異議申し立て
-
発表された成績に不備または異議がある場合は、成績公開から2日以内に、開催地インストラクターを通じて申し立てることができる。
7.10 時間の計測
-
通常、タイマーのブザー音が競技開始の合図となる。
-
終了は、競技者がストップターゲットをヒットした時点とし、そのタイムを自動計測する。
-
特殊な場合は、インストラクターの指示による開始合図もあり得る。
7.11 ペーパーターゲットに対する加算タイム
ゾーン | 加算タイム |
---|---|
Aゾーン | 加算なし |
Bゾーン | 1ヒットにつき +0.5秒 |
Cゾーン | 1ヒットにつき +1.5秒 |
エッジ | ヒット判定とせず +3秒 |
7.12 採点基準
-
弾痕がゾーンの境界線をカットしている場合、上位ゾーンに帰属する。
-
微妙な判定については、インストラクターの裁量に委ねられる。
7.12.1 貫通弾の扱い
-
ターゲットは「貫通しない」ものとして扱う。
-
貫通した弾によるヒットは無効とする。
7.12.2 斜めの弾痕
-
弾痕が斜めに入り、BB弾の直径の2倍以上に広がっているものは無効とする。
7.13 プレイト(丸型ターゲット)
-
ターゲットの大きさに関わらず、ミスヒットごとに +3秒のペナルティを加算する。
7.14 ストップターゲット
-
ストップターゲットをヒットしたタイミングが、そのステージの競技終了タイムとなる。
7.15 有効弾痕数を超えた場合の扱い
-
全弾数制限がないステージ:より良い弾痕を採用する(ベストカウント方式)
-
弾数制限のあるステージ:制限を超えた場合、悪い方の弾痕を採用する(ワーストカウント方式)
7.16 タイムトライアル形式
-
ステージ1:3回の試技の合計タイム
-
ステージ2・3:各1回のタイム
-
最終スコアは、全ステージの合計タイムで決定される。タイムが少ない者から順位付けされる。
7.17 ヒット数のカウント
-
各ターゲットに最低限必要なヒット数を達成すれば、ミスヒットとはみなされない。
-
コース図に明示がない限り、以下を標準とする:
ターゲット種別 必要ヒット数 ペーパーターゲット 2発以上 プレイト 1発以上 -
ステージにおいて使用弾数の制限がある場合、その制限を超えて射撃した場合は「オーバーショット」としてペナルティ対象となる。
8. ペナルティ
以下に該当する行為があった場合、それぞれに対し +3秒のペナルティタイムが加算される。
※ただし、重大な違反については**失格(DQ)**が適用される場合もある。
8.1 ミスヒット
-
各コースにおいて規定の弾数未満しかターゲットに命中していない場合。
-
プレイトに関しては、弾痕の判定が困難なため、ヒット音と目視によりインストラクターが判断する。
8.2 ノーシュートターゲットへの命中
-
ノーシュートターゲットに弾痕が確認された場合。
8.3 行為エラー(ステージ指示違反)
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各ステージに定められた個別の射撃指示を守らなかった場合。
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指示ごとに1件あたり +3秒のペナルティを加算。
8.4 指示違反(インストラクターの指示無視)
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インストラクターの明示的な指示に従わなかった場合。
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明らかに競技の進行に支障があると認められる行為。
8.5 オーバーショット
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弾数制限があるステージで、制限を超えて発射した場合。1発につき +3秒加算。
8.6 入退場時のガン取扱い
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シューティングレンジへの入退場時にガンを手に持った状態で移動してはならない。
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必ずホルスターに収め、マガジン・BB弾を抜いた状態で入退場すること。
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弾を抜けない構造のガンを使用する場合は、事前にインストラクターへ報告すること。
8.7 銃口管理違反
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レンジ内では常に銃口を安全な方向(ターゲット方向・左右180°以内)に保つこと。
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※RV部門のリロード時を除く。
8.8 無許可操作
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シューティングレンジ外での以下の行為は禁止:
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ガンを抜く
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マガジンを装填する
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競技前・競技後にかかわらず、指示がない状態で勝手に操作する行為も含む。
8.9 トリガー管理違反
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射撃時以外にトリガーガード内へ指を入れてはならない。
8.10 スタンバイ姿勢違反
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競技開始前には、数秒間スタンバイ姿勢を保持する。
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以下は姿勢別の違反対象:
8.10.1 ハンズアップ
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両手首が肩のラインより上にある状態でなければならない。
8.10.2 ナチュラル
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両手を自然に下げ、自然な立ち姿勢を保持すること。
8.10.3 その他
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ステージ2・3では、指定された姿勢を厳守すること(ただし、エントリー部門は除く)。
8.11 フライング(スタート前動作)
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スタートのブザーが鳴る前に体の一部を動かした場合。
8.12 ラインオーバー
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射撃時に、両足がフォルトラインの内側に完全に入っていない状態。
8.13 バリケイド違反
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指定されたバリケイド(遮蔽物)を通さずに射撃した場合。
8.14 指定スタイル指示違反
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指定があるステージで、指定状態でない状態射撃した場合。
8.15 ストロング/ウィークハンドオンリー違反
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ストロングハンド(利き手)またはウィークハンド(逆手)の指示がある場合に、補助の手でサポートして射撃した場合。
8.16 リロード違反
CC部門:
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ステージ2・3では、最低1回のリロードを実施すること。
RV部門(多弾装):
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全シリンダー分を撃ち切った後、必ずリロードすること。
8.16.1 トランジション違反(2GUN部門)
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試技中に、必ずプライマリー → セカンダリーへ持ち替える必要がある。
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プライマリーが使用不可状態(セーフティON・ホールドオープン等)の場合は、銃口を下げて安全に移行すること。
8.17 フルオート射撃
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一度のトリガー操作で複数弾を発射する行為は禁止。
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ガンの不調により発生した場合は、インストラクター判断によりリシュートが許可される場合がある。
8.18 ペナルティの適用原則
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競技者がルールを認識していない場合でも、インストラクターが適用の判断を行う。
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原則として、該当行為があったときは競技者が申告し、紳士的にルールを尊重すること。
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競技者の未熟さが原因と判断された場合に限り、インストラクターの裁量で一度のみリシュートを認める場合がある。
9. 失格行為(DQ)
本章に定める失格(Disqualification / DQ)対象の行為があった場合、当該競技者は当該大会のすべての成績が無効となり、以後のステージにも参加できない。
失格の判断は、その場にいるインストラクターの裁量により即時行われる。
9.1 暴発(Negligent Discharge)
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競技者の意志に反して発射が起こった場合。
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例:トリガーに触れていない状態での誤射。
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装填済みガンを不用意に操作して暴発させた場合も含む。
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9.2 ガンを落とす(Gun drop)
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ロードされた状態(弾またはマガジンが入った状態)のガンを落とした場合。
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落下の有無に関わらず、装填済みのガンを手放して床に触れさせた時点で失格。
【補足:以下の項目も失格対象として追加が想定される場合】
9.3 セーフティルール重大違反:
銃口の方向違反や、安全装置の故意的無視。
9.4 故意による危険行為:
観客・スタッフに対する不注意や危険な操作。
9.5 スポーツマンシップ違反:
暴言、侮辱、虚偽の申告、不正行為。
9.6 故意の施設に対する射撃:
明らかに競技中に標的以外への故意射撃。
9.7 審判・インストラクターへの妨害:
進行妨害、抗議による混乱の発生。
9.8 使用禁止ガン・装備の使用:
明示的に禁止されている銃種や装備の使用。
10. 退場・追放処分(Exclusion & Ban)
本章に定める行為を行った者は、その場で競技会場から即時退場させられ、**ATPF主催のすべての競技会・関連イベントへの今後の参加を永久に禁止(追放処分)**とする。
10.1 故意による危険な射撃
意図的に、ターゲット以外の物体や人物に向けて射撃した場合。
競技の安全を根本から破壊する行為として、いかなる事情があっても例外を認めない。
即時退場・永久参加禁止。
10.2 暴言・暴力・倫理違反
会場内における、以下のような行為は重大な倫理違反として処理される:
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他者への暴言・脅迫・恫喝。
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身体的暴力・器物破損。
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インストラクターやスタッフ、他の競技者への侮辱や妨害。
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動機や状況を問わず、即時退場・永久参加禁止とする。
10.3 誹謗中傷・名誉棄損行為
ATPF団体、運営、競技会、あるいはその関係者に対する、
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悪意ある誹謗中傷、
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根拠のない風評の流布、
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団体のイメージを著しく損なう行為(名誉棄損、信用毀損)、
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インターネット上を含め、あらゆる媒体で行われた場合も、同等の処分とする。
即時退場・永久参加禁止。
【補足:処分の通知と異議申し立て】
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退場・追放処分は、ATPF本部および開催地責任者の判断によって正式決定される。
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処分を受けた者が意義申し立てを希望する場合は、文書にてATPF本部へ提出することができるが、原則として処分の撤回は行われない。